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下草を刈り、枝も適切に伐採された美しいゴム農園。
P.D.R.オリジナルのラテックスグローブ「ソッティ」の製造メーカーは、グローブの工場だけでなく、ゴム農園をたくさん持っています。ゴム農園はタイ国内に点在していますが、今回は南の方にある、約1500本のゴムの木を栽培する中規模の農園を訪問しました。 グローブに詳しい方は「あれ?マレーシアじゃなくて、タイなの?」と思われたかもしれません。 グローブの工場数・製造量はマレーシアが世界一です。 でも、原料の天然ゴム生産量は、1位タイ、2位インドネシア、3位ベトナムかコートジボワールか…と状況が変わってきています。マレーシアは1990年頃までは世界最大の天然ゴム生産国で、それを原料にしてグローブ産業が発展しました。しかし、徐々にアブラヤシから採れるパーム油の需要が伸びてきて、収益性も高いため、ゴム農園に代わってアブラヤシ農園が増えていきました。今ではマレーシアのグローブ工場は、タイなどから天然ゴム原料を輸入するようになっています。
ゴムの木の樹皮削りに挑戦!
ゴムの樹液の採取は、夜明け前から始まります。日が昇り、気温が上がると、樹液の流れが遅くなって採取量が減ってしまうからだと説明を受けました。 私たちも、実際に採取を行う時間帯に行きたかったのですが、農園の方に「夜行性の毒グモや毒ヘビが生息しているので、暗い中だと気づかないうちに噛まれる恐れがあるから、NG!」と言われ断念しました。 結局、日が登りきった正午に行きましたが、それでも分厚い長靴を履くよう促され、農園のスタッフの方が周りを見張って、安全に配慮してくださいました。
樹液の採取は専用の道具を使って、ゴムの木の樹皮を半周程度、左上から右下へ斜めに削ります。 ほぼ直角に曲がった先端を樹皮に引っ掛けて、前回削ったところをなぞるようにして、小刻みにグッ、グッと引いて薄く削るのがコツです。
染み出した樹液は、容器に1滴ずつ落ちて溜まります。
すると、削ったところから乳白色の樹液が染み出してきて、木に吊り下げられたカップの中に、ポタポタと1滴ずつ落ちていきます。この1滴1滴が集まってグローブになるとは、途方もないことに思えました。1回の採取量は、1本の木からコップ1杯程度だそうです。もっとたくさん削って、もっとたくさん樹液を出せばいいのでは?と思えますが、それはダメなのだそうです。木にダメージが大きすぎると、最悪の場合は枯れてしまうので、木を痛めすぎないようにカンナで削るように薄く、幅は1cm程度にし、幹の中心から距離を取ることを意識するそうです。 実際やってみると難しく、道具の刃が鋭いため、うっかり深くえぐってしまいました。農園の方々は、夜明け前の暗いゴム林の中で、この繊細な作業を毎日1500本分行い、溜まった樹液を回収しています。溜まった樹液は時間が経ちすぎると固まるため、スピーディーに作業をします。毒グモも毒ヘビもいて危険だし、腰が痛くなるし、想像以上に大変な作業だと分かりました。
新鮮なゴムの樹液は、基本的には約35%のcis-1,4-polyisopreneという高分子物質(ゴム成分)、約60%の水分とその他の物質で構成されています。 御覧頂いた通り、ゴムの木からポタポタ1滴ずつ集める天然原料なので、雨季には水っぽくなってゴム成分が薄くなり、乾季には水分が少なくなってゴム成分が濃くなります。また、不純物も含まれています。そのため、グローブ製造に使える原料にするには濃度調整等をする必要があります。 ・樹液をろ過し、固形物や不純物を取り除く ・遠心分離機で濃縮 ・アンモニアの添加(樹液が固まるのを防ぐ) ・物性を安定させるための化学物質を添加 などの工程を経て、調整された天然ゴムを工場に運び、そこでさらに他の原料を加えてグローブ製造に使われます。
今回、ゴム農園で樹液を採取を体験し、天然ゴムは自然由来のナマモノだと実感しました。1本のゴムの木から1日で採れるコップ1杯(約200ml)の樹液からできるラテックスグローブは、わずか10枚です。使い捨て手袋ではありますが、捨てるには惜しいと思ってしまうくらいの労力がかかっていました。 化学合成ゴム(ニトリルグローブの原料・石油由来)と比べると、原料の採取は人の手間がかかっているし、天候によっても品質が変わるし、毎回同じ品質でラテックスグローブを製造するのが難しいことにも納得がいきました。 ラテックスグローブは、天然ラテックスアレルギーの方には注意が必要です。しかしながら、優れた伸縮性やフィット感があり、操作性に優れているため根強い人気があります。
ゴムの木には樹液を出す適齢期があり、樹齢6年頃から採取できるようになり、26年くらいになると採取量が落ちるそうです。役目を終えたゴムの木は伐採後、ウッドチップにしてグローブを製造する際の燃料などに利用されるそうです。エコ素材と言えるかもしれません。 私たちは、今後もできる限りこの目で生産体制を確かめ、おすすめできる工場の製品をお届けしたいと思います。
この記事を書いたスタッフ
こんにちは。ゴンゾウです。(※スタッフの名前は、ニックネームで記載しています。) 今回、タイのゴム農園を訪問することができると聞き、馴染み深いラテックスグローブの原料を採るところから見られるまたとない機会!と喜んでいたのですが、実際に行ってみると、自分の想像よりも遥かに広大な土地である一方で、それぞれの樹から採取できる樹液の量の少なさに驚きました。 夜が明ける前からゴム採取をしてくださっている農園のスタッフの方々の顔を思い出しながら、しっかり商品の良さをアピールして恩返ししたいと思います。(商品企画/ゴンゾウ)
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